エリオット波動論をチャートに当てはめた時に、全然違うと感じるのは「フラクタル」のせいだと思います。
フラクタルとは、同じパターンの図形を表す数学的概念ですが、エリオット波動論の解説でよく使われるのが次のような図です。
参考:https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott.html
エリオット波動論を分かりやすく解説しようとしてこの図になったのだとは思いますが、その結果エリオット波動論を理解する上で大きな壁になってしまったとも思います。
というのも、実際のチャートでは常にこのような綺麗なフラクタルを描くことはないからです。
エリオット波動論のフラクタルは厳密には違うよね?
ここまでの記事でエリオット波動論の「推進波は5波構成・修正波は3波構成」というのは”原則”であり、”例外”として「推進波にはエクステンション・修正波には複合」があるとお伝えして来ました。
ということは、冒頭の図のように綺麗に推進波は5波構成・修正波は3波構成で波形が作られるわけではないので、エリオット波動論のフラクタルは「フラクタルとは違う」ということになります。
しかし、こういった解説が無いため「当てはまらないのは自分の見方が悪い」と考える方や「エリオット波動論は実際には使えない」という人が増えてしまいました。
実際のチャートでフラクタルを考えるとどうなる?
冒頭の図ではフラクタルの考え方が分かりやすいように線の記載がありますが、実際のチャートには丁寧に線が描かれていることはありませんので自力で脳内変換する必要があります。
そこで便利なのがRCIの3本表示です。
下記の図は分かりやすく期間9と52の2本表示にしてあります。
<RCI9のみ>
<RCI9と52>
RCI9と同じようにRCI52の天底と高値安を合わせると、上図のように「大きなサイクルとなるRCI52の波動は、RCI9の小さい波動で構成されている」ことが分かります。
常にこのように分かりやすくはなりませんが「1つの大きな波の中には内部を構成する波形がある」ことを表すのにフラクタルという用語を使っているのです。
とにかく波のサイズを正しく見ることが大事!
では、再度別のチャートで見ていきましょう。
上記のチャートはRCI9のターンに合わせて、価格に黄線を引きました。
あまりRCIのターンが小さいものは気にしていませんが、きちんとRCI9に合わせると上記のようになるはずです。
次はRCI26に合わせて赤線を引いてみます。
RCI26は9の3倍の期間になりますから、波のサイズも大きくなります。
ですから、きちんと分けて考えないといけません。
そうすれば、9の波が26の波を構成していることが分かります。
他にも26の波の中に複数の9の波があるところはありますので、一度ご自身で区分けして貰うと良いでしょう。
RCI3本表示を考えた人は天才だと思う
RCI3本表示のデフォルト9.26.52の設定はよく考えられていると思います。
エリオット波動論は原則として「推進5波構成・修正3波構成」で波形が作られるわけですが、
- 26は9の約3倍
- 52は9の約6倍
ですから、ここまでの画像を見ても26や52を1つの波として見た場合に、ピッタリにはなりませんが5波構成や3波構成が結構分かりやすく見えると思いませんか?
あえて分かりやすいチャートを出すと。
9(1波目)18(2波目)27(3波目)という3波構成になります。
もちろん常に分かりやすいわけではなく9の波と26の波が一緒というところもあります。
Zigzagで波の特定は難しい
ちなみに波を特定するのに「Zigzag」を利用する人もみえます。(そういうインジケーターもある)
実際にMT4デフォルトのZigzagを設定してRCIと比べてみると、
<Zigzag>
<RCI>
期間9と26の波が混在していることがわかります。
つまり期間(サイクル)が定まっていないので、私は使うことはありません。
大事なのは「9の波で見てどうなのか? 26の波で見てどうなのか?」という特定の期間を定めた視点です。
まとめ
今回はエリオット波動論の「フラクタル」について解説してきました。
フラクタルは推進5波構成:修正3波構成と固定されているのであれば簡単ですが、実際には例外規定があるので同じことの繰り返しにはなりません。
この辺りの解説は丁寧にされていないので多くの人が勘違いしてしまいます。
ここまでの内容のおさらいとしては、次になります。
- エリオット波動論のフラクタルは厳密にフラクタルではない
- エリオット波動論のフラクタルは「波の内部構成を考える」ためのものとして考える
- RCI3本表示を考えた人は天才
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