「エリオット波動論の基礎知識なら分かっているから今回の記事は読まなくてもいいか」
と、思っている人はちょっと待ってください。
私の体感的にエリオット波動論の基礎知識が(実践的にという意味で)正しく理解できている人は10人に1人の割合です。
ですから初学者はもちろん、今までかなり勉強してきた人も頭をフラットにして読んでみてください。
ちなみに、ここでは『エリオット波動入門』のサンプルサイトに記載されている内容で進めていきます。
参考:https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott.html
補足としてこちらも参考にして下さい。
推進5波と修正3波という考え方について
エリオット波動論を間違って覚えている第1位が「推進5波構成」と「修正3波構成」です。
エリオット波動論では、相場の動きを「推進波」と「修正波」の2つに分類します。
- 推進波…1波、2波、3波、4波、5波の「5つの波」で構成される
- 修正波…A波、B波、C波の「3つの波」で構成される
ほとんどのエリオット波動論の解説サイトでこのように記載されているので「推進波は5波で数えなければいけない(修正波は3波で数えなければいけない)」と思い込んでいる人が多いです。
参考:https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott.html
ある意味でエリオット波動論の基礎となる部分ですが、ちゃんと全体を正しく読んで理解していないと間違ってしまいます。
推進5波(修正3波)は原則です!原則には例外がある!
参考:https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott2.html
まずは推進波に焦点を当てて解説します。(修正波は後で)
原則として推進波は5波構成ですが、実際の相場では「どう考えても5波に見えない」という場面があります。
その時の例外ルールが「エクステンション(波の延長)」です。
上記の画像を見て貰うと分かるように、どの波が延長するか分かりません。
ですから実践レベルでどの波が何波なのかを特定しようとしても意味はなくて、大事なのは
- 推進波でも5波で終わらないことがある
- エクステンションは推進波で発生する
という2点です。
推進波は5波で終わらないこともある!(だけど5波より小さくはならない)
よくエリオット波動の解説で「何となくトレンドっぽいから無理矢理5波に当てはめている」人を見ますが、そもそも推進波は5波構成で終わらない可能性があるのですから間違っていることが分かります。
こちらの記事でも書いていますが、基準を持って波を見るだけ。
その結果として7波でも9波でも11波でもOKです。(エクステンションということですよね)
むしろ重要なのは、原則5波構成ということは5波よりも小さくはならないということです。
これに例外はないので、トレード戦略を構築するうえで大切な要素になります。
(補足)原則と例外という言葉のイメージ
エリオット波動論を解説するうえで「原則と例外」という言葉を多用します。
例えば、10回のうち8.9回出現するのが原則。
たまに1.2回出現するのが例外という感じではないでしょうか?
ですが、ここで言うと原則と例外の頻度は半々くらいというか、修正波(あとで解説)に至っては3波構成にならない例外の方が多いです。
そのため言葉の選択として適切かどうかは微妙ですが、
- 推進波は5波構成以下にならない
- 修正波は3波構成以下にならない
と思って頂いた方が良いかもしれません。
推進波のルールについて
エクステンションは「推進波の例外ルール」ということでした。
ということは、エクステンションは「推進波以外では発生しない」ということですから見極めが必要になります。
参考:https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott3.html
こちらはエリオット波動入門に記載されている推進波を構成する1.2.3.4.5波の特徴です。
パッと見た感じで覚えるのが大変そうですよね?
多くの解説サイトでは上記のように「第3波はウンタラカンタラで…」みたいなことを書いていますが、とくに丸暗記する必要はありません。
上記で抑えておきたいポイントは黄色マーカーで塗ったところです。
注意点としては、第2波や第4波に関わらず「推進波の戻りとなる波(2波や4波)」は、
- 新安値を付けない(第2波)
- 前々回の高値に割り込まない(第4波以降)
ということが推進波を定義づけるポイントになります。
図にすると以下のような形で価格更新される波形が「推進波」になります。
つまり、推進波は「トレンド相場」ということが分かります。
それを踏まえてエクステンションを考えると「エクステンションはトレンド相場で発生する」ということですから、安易な逆張りは悪手ということになりますよね。
実際に話を聞くと「高値が更新しているからトレンドでしょ?」という人が結構みえたのですが、これはトレンドではありません。なぜなら、
- 新安値を付けない(第2波)
- 前々回の高値に割り込まない(第4波以降)
このルールを満たしていないからです。
ということは、こういった値動きの場合に何が考えられるかというと「推進波ではないのでエクステンションは発生しない」ということが言えます。
では、こういった「トレンドもどき」のような値動きは何かというと、修正波のパターン(ジグザグやフラットが連続した形)です。
修正波については別記事で詳しく解説しますが、実際のチャートで見ると以下のような場面です。
推進波のルールをきちんと把握することで何が実践で役立つかというと、目先に節目(抵抗となる高値安値など)があった際に「その節目を抜くか?もしくは反発するか?」そういった場面での判断に役立ちます。
推進波なら節目を抜くかも知れないけど、修正波なら反発する可能性が高そうですよね。
あとは利食いの判断で推進波なら伸ばすし、修正波なら貰っておくと判断しても良さそうです。
チャート分析は「波」まで考えないと精度が上がらない
余談ですが、少し前にFXセミナーの講師をされている人に「環境認識」が大事という話をされました。
環境認識とは、現在の相場がどのような状況下にあるかを把握することだそうです。
実際に何をチェックするかというと、
- トレンドの有無
- 通貨ペアの強弱
- 経済指標や要人発言などファンダメンタルズ要因
らしく、言っている意味は分からなくもありません。
そして、どうやってトレンドの有無を確認するのかというと
- サポートやレジスタンスの確認
- マルチタイムフレーム分析(複数時間軸の確認)
と言っていましたが、間違いなくこれでは不十分です。
先ほどのチャートを例にすると、青破線を赤四角でブレイクしたのでエントリーするか悩むと思います。
一気に次の高値まで上昇するかもしれないし、ダマシになる可能性もあるわけです。
しかし、エリオット波動論で「波」を考え、赤四角までの値動きで「修正波」と判断していれば、推進波ではない(=トレンドではない)ので値動きに勢いは無いと想定して、ダマシになる確率が高いと判断します。
過去を分析して、今を把握して、未来を想定する。
そして、これは「エントリーから保有or決済」まで連続して・常に行います。(というか、行えないとダメ。判断出来ない)
そのために分析で全体像を把握する視点(面や立体)が大事なのは分かりますが、逆に詳細にピンポイントまで分析することも大切なのです。
まとめ
今回は「エリオット波動論の基礎知識」をテーマにしてきました。
本当は推進波と修正波を合わせて解説したかったのですが、修正波は次回にします。
ここまでの内容をおさらいすると、
- 推進5波や修正3波は「原則」である(例外も存在する)
- 推進波は5波構成以下にならない/修正波は3波構成以下にならない
- チャート分析は波まで考えないと精度は上がらない
ですが、基礎知識を疎かにしている人が多いです。
トレード界隈の情報は「間違っていることが多い」ので鵜呑みにせず、自分で正しいかどうか検証してくださいね。
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