エリオット波動論を実践するうえで壁になるのが、「どの高値と安値を結んで波と見るのか分からない」ということです。
エリオット波動論を解説しているサイトや書籍を読んでも、具体的に波の特定の仕方に解説しているサイトは「ほぼ皆無」だと思います。
私自身も波の特定方法について頭を悩ませ、書籍を買い漁り、サイトも読み漁り、20年ほど前に1つだけヒントが書いてあったブログを見つけましたが、逆に言えばそれだけです。
それくらいエリオット波動論の波の特定について記載されている書籍やサイトは見つけることが出来ません。
エリオット波動論の第一関門
もう一度言いますが、エリオット波動論は波が特定出来ないとリアルで役に立ちません。
こちらは「エリオット波動論」と検索して1ページ目に表示されていた「OANDA」のエリオット波動論の解説ページの画像です。
参考:https://www.oanda.jp/lab-education/technical_analysis/elliott_wave/beginner/
参考:https://www.gaitameonline.com/academy_chart13.jsp
同じように検索1ページ目にあった「外為オンライン」も見ていきましょう。
OANDA以上に「なぜ、このように線を引いたのか」分かりません。
仮に上記のエリオット波動論の解説が正しいとしても「線を引く(波を特定する)根拠が分からないのであれば再現性はない」ということです。(つまり実践できない)
個人的に上記のチャートを見ると「完成したチャートを見てなんとなく推進5波/修正3波に見えるところに線を引いたんじゃないかな」と思いますが、そんな個人の感覚で変わる波の特定方法ではリアルタイムのトレードでエリオット波動論を活かすことは出来ません。
ですから、まずは「誰でも同じように波が特定できる」具体的な方法を学ぶ必要があります。
その前に「お願い」があります。
エリオット波動論は専門用語もたくさん出てきます。
出来るだけ分かりやすく解説するように心がけますが、前提となる知識が無いと本当の意味で理解してトレードに活かせられるレベルには到達しないでしょう。
エリオット波動論の解説本で私がオススメするのは、ロバート・R・プレクター・ジュニアとA・J・フロストの『エリオット波動入門』で、10年以上前に販売された書籍ですが、今読んでも素晴らしい内容だと思います。
ですが、正直なところ「入門という割には初学者には難易度が高い」です。
そこでお願いというのは、エリオット波動論を今まで学んだことがないという方は、こちらのサイトに目を通しておいて下さい。
https://www.panrolling.com/books/wb/elliott/elliott.html
(『エリオット波動入門』の一部を紹介しているサイトで、全部で3ページだけです。)
波の特定方法を知ればエリオット波動論はかなり使える!
エリオット波動と言えば、推進波や修正波をどうやって特定するかと思いがちですが、私的には「そこが間違い」だと思います。
あとで詳しく解説していきますが、そもそも「推進波は5波構成」「修正波は3波構成」というのは、原則であって例外があります。
ですから、5波構成に無理矢理当てはめることに意味はなくて、素直にチャートに描かれる波を見ていくべきです。
エリオット波動論は「相場分析の手法」であって、エリオット波動論のルールに沿って相場が動いているわけではありません。
そこでもう一度先程の画像を見てみましょう。
なぜこのように線を引いたのか「根拠」が分かりませんよね?
「この波の見方は間違いない。自分は同じように線が引ける!」という方は、次の画像はどうでしょうか?
例えば、こんな感じでしょうか?
結局こうやってローソク足だけ目に付く高値安値に線を引くなら、個人の「感覚」でしかありません。
そのため、誰が引いても同じようになるための「基準が必要」になります。
そして、その基準を作るのに超便利なので「RCI」です。
次のチャートは「RCI9」を表示して、「RCI9のターン」と「その期間の高値安値に合わせて線を引いた」画像です。
RCIは「一定期間の価格の高値安値」を表そうとするテクニカルなので、RCIのターンと価格の高値安値を合わせてみることで波を特定することが出来ます。
第1波や第3波が分からなくない?
少し話は逸れますが「黄矢印を見てもどれが第1波で、どれが第3波か分からない」という声が聞こえてきそうなので補足します。
ここで大事なのは「値動きとRCIを合わせることで波が特定できる」ということです。
(現時点で第1波や第3波を特定することは重要ではありません)
白矢印に根拠はありません。(適当です)
1分足でRCI9を根拠に線を引きました。(でも、波が細かくてよく分からない)
これはその時の値動きの大きさが「5分足で見やすかっただけ」で、ボラティリティが小さければ逆に1分足が見やすいかもしれません。
また、ボラティリティが大きければ5分足でも見づらくて1時間足の方が分かりやすいかもしれません。
まずは根拠を持って波を特定することが大事です。
RCIじゃないとダメなの?他のオシレーターでもよくない?
価格の天底を合わせるならRCIじゃなくてもストキャスティクスやRSIでも良いと考える人もみえるかもしれませんが「RCIが良い」です。
個人的には「RCIの3本表示を考えた人は天才」だと思います。
ゆくゆくRCIについては解説しますが、ストキャスティクスでもRSIでもなくRCIがベストです。
またRCI9というのも意味があり、波を特定する際は「期間を固定」して考えないと混乱します。
期間を固定していないと「時間軸(チャートの横軸)を無視する」ことになるからです。
何度も登場させて申し訳ないですが、上記チャートだと横軸が合っていないことが分かるでしょうか?(12345からいきなりABCで横軸が長くなっている)
RCI9に合わせれば「期間が定まっている」ので横軸の長さ(リズム)は合ってきます。
RCIと値動きが一致しない箇所がある?
RCI9と値動きを合わせるだけなんて簡単と思うかもしれませんが、ぜひ自分でチャートに線を引いてみてください。
実際にRCI9と値動きを合わせて「綺麗に合わない箇所がある」と違和感を覚えた人は真面目にやっている証拠だと思います。
必ず「RCIのターンがはっきりしない」ところや「RCIのターンと価格の動きが一致しない」場面があるはずです。
違和感を覚える箇所を分けてみましょう!
上のチャートは次のように3つの場面で分けています。
- 黄矢印のように「RCIのターンと値動きが一致している」ところ
- 青四角のように「天底に行かずに中途半端に動いている」ところ
- 赤矢印のように「RCIの動きと価格の動きに違和感がある」ところ
オシレーターは「ある程度ボラティリティの大きさがあるレンジ相場」で有効に機能しますが、逆に
- ボラティリティが小さい(値幅が狭い、調整の可能性)
- 買い・売りどちらか一方向の圧力が強い
こういった場面では残念ながらオシレーターは機能してくれません。
しかし、違和感を覚える場面の”次の動き”は「一方通行な値動きが発生する可能性が高い」ので、リアルトレードでこの違和感を察知できるかどうかはトレーダーとしての力量に大きく関わります。
ここではRCIが天底で綺麗にターンするという黄矢印を原則として、綺麗にターンしない青四角や赤矢印を例外として分けていますが、これかなり重要になります。
相場に1+1=2のような不変的な答えを求める人はみえますが、相場には「原則」と「例外」があります。(これでワンセット)
これが理解出来ればトレードに聖杯は無いことが分かりますし、トレードの取り組みや考え方も大きく変わると思います。
まとめ
トレードで勝つために必要なことは「戦略と戦術」です。
トレード戦略を考えるために必要なことは、チャートを分析する力。
そのために「チャートを波単位で分析する」エリオット波動論は、どう考えても最強です。
ただ、問題はそこまで理解して実践できる人が少なく「正しい情報が出回っていない」ところだと思います。
ここまでの内容をおさらいすると、
- エリオット波動論を実践するために「波の特定」が必須
- 波の特定はRCIと値動きを合わせることで出来る(原則)
- 但し、RCIと値動きが一致しない場面もある(例外)
といったところですが、もちろんリアルタイムトレードに活かすためには他にも知っておくべきことがたくさんあります。
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